北海道大学の木々。
その記憶を宿した燻製珈琲。

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あの木々を、
忘れたくないと思った。

そこは、北海道大学のキャンパスのはずれ。
人の営みのために切られてしまった木が
ありました。
その数、320本。
人と自然とが共生していくためには、
仕方のないことかもしれません。
でも、せめて切られた木は、
なんとかできないか。
そこで私たちは、木に残された力を借りて、
新たなコーヒーをつくろうと考えました。
伐採された木を使って豆を燻煙した、
燻製コーヒーです。
樹木の香りをまとわせることは、
記憶をコーヒーに託す行為にも思えてきます。
木は、確かにそこにあった。
数十年以上、この地の風景だった。
それを忘れたくなくて、
このコーヒーは生まれました。

木の記憶を、
いかにコーヒーの
美味しさに
変えるのか。

RITARU COFFEEが理想とするのは、
「コクがありつつ、後味がすっきりしている」
コーヒーです。
これはアノトキにおいても変わりありません。
今回選んだ豆は、
タンザニア・グアテマラ・ホンジュラス・コロンビア産のもの。
煙でいぶす前に、まず焙煎をしていくわけですが、
ここがひとつのポイントとなります。
フルーティー感のある浅煎りにすると、
木の香りとケンカしてしまうので、深く焙煎を。
飲みごたえがありつつも、
すっきりした味わいに仕上げていきます。

次に、焙煎された豆は燻製の工程に入ります。
使うスモークチップは、
北大で伐採されたイチョウやナラなど。
(その時々で木の種類は変わります)
燻製器の中で木の煙をまとわせたら、
取り出して煙をなじませる。
それを数度繰り返して、
香りを定着させていきます。
RITARU COFFEEがたどり着いた、
コーヒーにとって最適な燻製によって、
アノトキは完成します。

淹れたてのアノトキからは、
控えめな燻香が漂います。
口に含めば、深煎りならではの豊かな風味と香り。
後味には、木の香りが静かに感じられるはずです。
木の記憶を宿したコーヒー。
どうぞ時間をかけて、ゆっくりお楽しみください。

アノオンシツ。
ここからすべてが
始まりました。

学内でも知らない人が多い、
北大の札幌キャンパスのはずれにある、
1973年に建てられた古い温室。
ひっそりと佇んでいたこの歴史的な建造物に、
新たな使い方を提案する
アートプロジェクトが進められています。
その名も「アノオンシツ」。
バイオアートを軸として、
地域と大学、科学とアート、経験と知識を
つなぐ取り組みです。
主催するのは、
北海道大学 CoSTEP 特任講師であり、
アーティストでもある
朴炫貞(パク ヒョンジョン)さん。
彼女とRITARU COFFEEとの出会いから、
アノトキは生まれました。

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